香港社会で成功するためには
香港では公用語は「中文」と「英文」と規定されている。
「中文」とは広東語と普通語を意味するが、実生活上では、中国大陸からの旅行者を除いて、広東語のみで会話がされている。
1997年の香港返還以降、同僚や友達との会話の中で、
「好不好?」などと故意に普通語を交える言語的な遊びも見受けられるが、香港人同士の普通の会話で、普通語が選択されることはまずない。
香港では、「英語ができる」ということがひとつのステータス、つまり特権的な意味をもっており、これは日本と比較すると、もっと激しいと言える。
なぜなら、香港では、実生活上で突如、英語を話さなければならない状況に遭遇する可能性が、日本に比べて格段に大きいからである。
つまり、香港で仕事を探すとき、必ず英語がどの程度できるかどうかがひとつの問題となる。
その際に、香港人は発音がネイティブ並みかどうかに対して非常に敏感で、相手の発音を聴きながら瞬間的に
①ネイティブ並み
②ネイティブではないが、うまい
⓷うまくない
④下手
の4段階に区分けしている。
私などは毎日の仕事での経験から、
英語の発音がネイティブであることは全く重要ではないと強く認識しており、
むしろ、アイデアの創意や人柄の誠実さが何よりも相手の心を打つと信じているが、
ネイティブ並みの発音への信仰は、私のカミさんが代表する、香港人の主婦たちの間では絶大な支持を得ているため、
香港の子供たちは1、2歳から毎週数回の割合で、英語の教室に通うことになっている。
香港では名門の学校は「名校」と呼ばれており、幼稚園からすでに「名校」と、そうでない学校の区別がある。
香港人の親たちは、さまざまな手を尽くして、わが子を「名校」に入学させようとするが、この目的は、「名校」の教育プログラムなどよりは、むしろ、そのネットワークにあると言える。
香港では、日本のように、リクルートの会社説明会に行き、大勢で面接が行われるようなことはなく、個人で行動して仕事を見つけたり、親や親戚を含めた各自のネットワークを使って、仕事を探すことになる。
香港社会で成功するには、日本以上に、ネットワークつまり人脈に頼らなければならない。
以上