漢詩を読みながら普通語をはじめるキッカケになった「漢文の話」
香港に住んでいる私が、いま漢詩を読みながら普通語を勉強しているが、
実はそれにはこうしたキッカケがありました。
それは最近、吉川幸次郎氏の「漢文の話」(ちくま文芸文庫)という本を読んで
夏目漱石が少年時代に漢文に親しみ、唐詩宋詩を数千首も暗唱していたということを
知ったからでした。
夏目漱石は小説だけでなく、和歌や漢詩も作っており、漢詩については
本場の中国人が読んでも称賛するほど高いレベルだということです。
また旅行をしたときなども、漢詩で心情を表現するように習慣づけていたとのことです。
漢詩の原文を以下に引用します。
p.015
余兒時誦唐宋數千言、喜作爲文章、或極意彫琢、經旬而始成、
或咄嗟衝口而發、自覺澹然有樸氣、竊謂古作者豈難臻哉、
遂有意于以文立身、自是遊覽登臨、必有記焉、
私は子供のころから、唐人宋人の文章を暗誦し、それを模範として漢文を作るのが
好きであった。ある場合には一生懸命ねりあげ、十日ばかりもかかってやっと完成した。ある場合にはとっさに口さきから飛び出したのを、かえってあっさりと素朴であると感じた。ひそかな自負として、小鯛の作者だって到達に困難であろうかと、そう考え、かくて文章で身を立てる気もちを抱いた。それ以来、どこかへ遊びに行き、山に登り、水を前にするたびに、紀行文を作った。
やはり、漢文の素養があったからこそ、小説の面でも名を成したのでしょう。
ちなみに、森鴎外、幸田露伴も漢文に堪能であったということです。
それを知った私も、日々感じたことや考えたことなどを、その都度漢詩に表現できたら
いいなぁと思ったのでした。
私は何事もやるならばなるべく一石二鳥を狙いたいと思っており、今回も普通語を
学びながら、漢詩を勉強すれば、目的を2ついっぺんに達成できると考え、唐詩の勉強を始めました。
香港には三聯書店(Joint Publishing)という会社が作っている「三聯文庫」という
文庫本があり、日本でいうところの、岩波文庫のようなものです。
この文庫シリーズにも、「唐詩三百首」という本があるのですが、私が立ち読み
したところ、上級者向けのようで、詩のあとに、語句についての注釈が少しばかり
ある程度で、内容の解説がありませんでした。
この文庫本をポケットに入れて、散歩にでも出ると楽しいだろうなぁと思いますが、
今のところはまだ実力が伴っていないので、児童用の本で勉強してからにしたいと考えています。
以上です。