広東語と北京語はどっちが得か?
私は香港在住15年ですが、
15年前にはじめて香港に来たときは、英語を話していました。
広東語はその存在すら知らなかったので勉強もしたことがありませんでした。
北京語(普通語)は、少しかじったことはありましたが、
初級レベルにも達していなかったので、会話は全部英語でした。
しかし、英語だけでは香港人がなかなか心を開いてくれなかったので
発音が簡単な北京語を選んで、これを練習していきました。
その後なんとか北京語は話せるようになると、以前の英語の時よりも仕事上の意思疎通がうまくいくようになりました。
それから2年間はずっと北京語で仕事をしていましたが、
やはり北京語だと香港人のこころの隙間にまでは入れないということが分かってきたので、徐々に広東語にシフトしていきました。
カミさんの助力もあって、いまでは広東語で問題なく仕事をしています。
そうなると、広東語ばかりを使うようになると、香港では北京語を使う場面がほとんどないのでどんどん忘れていくのです。
ところが不思議なことに、それからしばらくしてまたラジオなどで北京語のニュースを聴いてみると、どういうわけか以前よりも理解できるようになっているのです。
構造は全く同じで、共通語が多いということも大きく影響していると思います。
感覚としては、
学生時代に英語の聞き取りを一生懸命していたときのように、一語一語集中して聞き取るということではなく、流れてくる音声が意味と一緒にそのまま頭の中に入ってきて理解できるというのに近いです。
例えば、ラジオの音声の中で「住宅」という語が出てくると、それを聞きながら、以前だれかと会話をしていたときに「住宅」という語を聞いた場面が、フッと頭の隅をよぎるのです。
ちょうど仕事上の使用言語を北京語から広東語に切り替えようとしているとき、
それまで使い慣れた北京語を忘れてしまうのが惜しくて、北京語と広東語を同時並行で学習していて、大変だった思い出があります。
結局、広東語に集中してとりかかりましたが、香港で生活する、または、広東語圏と仕事上接点を持つ、などの事情があるならば、まず広東語を集中して取り組み、その後、北京語を始めても初級からはじめるということにはならないと思います。
つまり、広東語ができるようになってから、北京語を始める場合、すでに中級レベルから始めるのがちょうどよいのです。
広東語の学習ですでに中国語全般に対する基礎ができているため、類似の北京語にとりかかりやすいのです。
また、声調は、広東語は9声、北京語は4声です。
実際に広東語と北京語を使ってみての感想としては、
広東語から北京語にシフトして場合、北京語の発音が非常にやさしく感じるし、また、4声の各々の違いが非常に明瞭に聞こえてきます。
感覚的には、足枷をして走ることに慣れた後、足枷をはずして走ると軽く感じるのと同じようなものです。
そう考えると、広東語と北京語のどちらを選択してもよい状況ならば、
広東語をまず始めることをおすすめします。
それから後々に北京語を片手間でやるとしても十分実力がつくし、また時間もかからないはずです。
以上