日本語と広東語の『破壞』という意味の違い
香港には、先日取り上げた中国語版の「半生の記 松本清張」が台湾から輸入されることがある一方で、香港内で出版されている本もあります。
学生向けの本が多く、なかでも低中学年向けの本は表現が複雑でなく、読みやすいものがあります。
例えば、
中国人故事 詩人和小説家的才華
新雅文化事業有限公司
HKD 60
という本があります。
香港の書店の学生コーナーに置いてあります。
この中で「杜甫」という箇所にこんな文章があります。
到了三十五歳、杜甫懷「致君堯舜上、再使風俗醇」的遠大理想、來長安參加科舉考試。由於奸相李甫破壞、參加考試的士子全部落選。
後半部分の文章で、「李甫という悪者の『破壞』のため、試験に参加した者はみな落第してしまった」となっているが、気になるのは、『破壞』です。
ここで中国語の辞書を調べてみると、2つの意味があります。
破壞
1)毀損
2)搗亂
少しわかりにくいので、英語に変換してみるとこうなります。
Destroy
1)Damage
2)Make troubles
ここでは2)の意味になり、邪魔という意味とするとすんなりいくと思います。
李甫という悪者が邪魔をしたため、試験に参加した者はみな落第してしまった。
ちなみに、日本の国語辞典で『破壞』の意味を調べてみると、
破壞
1)器物、建物、組織などをやぶりこわすこと。また、やぶれこわれること。
何と1)の意味しかありません。中国大陸から『破壞』という字が、日本へ伝わるときに、2)の意味が途中で抜け落ちたのかもしれません。
中国文と日本文は同じ漢字を使っているけれども、こういった違いがあるため、慣れないと読みづらい部分があるかもしれません。
しかし、こういった違いを発見すると、私などは面白いなぁと思ってしまいます。
広東語を学習すると、日本語についても学ぶことになり、これも広東語を学習するメリットだと思います。
以上
#広東語