日本人の私が広東語を勉強するメリット

日本人がいかに独学 低コストで広東語を身につけるか

広東語の語彙をどうやって本格的に増やしていくか?

香港在住15年で、日本語が全くできない香港人妻と暮らしている私ですが、毎日家庭内と仕事場で広東語漬けの状態で生活していて、いつも思うことがあります。

 

それは、

「日常生活で使う広東語の語彙は、かなり少ない。実際には100語前後だろう」

ということです。

 

香港人妻とも、かなり込み入った話題を話さない限り、ほとんど言語を必要としないということもあり、私が発する広東語もかなり限定的です。

 

ですので、いくら香港に住んでいるからといって、意識的に語彙を獲得していかなければ、語彙を増やすことはできない。

普段からラジオを聞いたり、ニュースを読んだときに、分からない単語があれば、すぐに調べるという努力を継続していなかければ、広東語に関して、私のような日本人と香港人の差を埋めていくことは難しい。

 

そういう意味で、やはり「読書」を通して語彙を増やしていくことが、私の経験からでも非常に効果がある方法だと言える。

 

ロシア語通訳者で、作家の米原万里さんが、以下の書籍の中で、同じことを発言しておられるので引用します。

 

ユリイカ

特集※米原万里

青土社

1300円

 

p.88

「ただ、当時からの読書ということを思い返すと、考えてみれば五年間も日本の教育を離れていた、つまり五年間の空白の後に日本に帰ってきた私が、それでも何とか日本の教育に追いつくことができて、今では日本語でものを書いているということ、それから、反対に、ロシア語で教育を受けたのはたった五年間なのに、それでも日本に帰ってきて今まで、ロシア語で仕事をしながら暮らしてこれたのは、つまり、日露というふたつの言語を身につけられたからということに他ならないんですけど、それは考えてみたら、かなりの程度本のおかげなんですね。

 

というのは、日常語というのは数百語もあればそれで通用してしまうという世界で、だからいくらロシア人の中で暮らしたからといって、それだけでは仕事に使える言葉のレベルにはならないんですね。仕事の場においては、もっといろんな分野の語彙が入ってきますし、あるいはおかれている複雑な現状を表現することが求められるわけです。そのためにも言語には膨大な構文と文法が準備されてきたわけですけど、そういったものを自分の血や肉となるように身につける最良の手段として、結局は読書以上のものはなかったと思うんですね。」

 

ロシア語と広東語では言語は違いますが、語彙の増やし方という点では、「読書」は最も安価で、効果が期待できる方法だと思います。

 

さらに以下は具体的に読書のやり方についてです。

 

p.88

 「そうして一冊読破してからは、ロシア語の本を読むのが苦痛ではなくなって、その頃ちょうど『吾輩は猫である』のロシア語訳も出ていたので読んだら割りとすらすらという感じで、しかもその翻訳はちゃんとダジャレなんかもうまく訳してあったので笑いながら読めた。そうした経験を経ることで、以後ロシア語の本をどんどん読んでいくようになったんですね。ロシアの作家のものでは、ツルゲーネフが読みやすかったので、彼の『春の水』とか『猟人日記』とかを読んでいったら、ロシア語の語彙が飛躍的に増えていった。」

 

今は日本の小説の中国語版もいろいろと出ているので、自分が日本語で読んだことのある内容でも、それを中国語で読んでみるという方法を通して、得られるものが多いと思います。

 

以上

#広東語